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 現実には,民法典制定以後も,先取特権の数は増加を続け,昭和39年のある調査によると約130種類に達し,近年もさらに増えているといわれる。

道垣内弘人『担保物権法〔第3版〕』44頁。

 そんなにたくさんあったのか。


 はてな記法をだいぶ忘れてる。引用の出典記載欄ってURL以外ダメなんだっけ。


 道垣内先生は従来留置権の牽連関係として一緒くたに論じられてきたものを一度解体して,

 牽連関係の有無の判断においては,債権者―債務者間の公平にのみ着目し,次に留置権の効力の物的範囲・人的範囲を検討することにより第三者との公平を図るべき

道垣内弘人『担保物権法〔第3版〕』20頁。

とした上で,物的範囲を画する基準としては,具体的に,従物・付加物のほかに,「目的物の留置に必要不可欠な,あるいは,目的物との結合が被担保債権発生の前提となっている他の物」という基準*1を提示されるのだが,ここから演繹的に物的範囲を画することができるのかよく分からない。とはいえ,「債権が物自体から生じた場合」及び「債権と物の引渡請求権とが同一の法律関係ないしは生活関係から生じた場合」に牽連関係ありとして,物的/人的範囲の問題をとりたてて意識しなかった通説的見解よりは分かりやすいので他に云いようはないのだけれど。
 なんでそんなことを思ったかというと,演繹的に解を導く議論に対して最近疑問を感じていたからというだけのことで,別に別解を考えているわけでもないし,そんな能力もないしw


 債権譲渡禁止特約の効果については物権的効力説が通説*2判例*3だけど,譲渡禁止債権に債権質が設定されたときも466条2項ただし書で処理するのかしら。道垣内先生は「特約について善意である質権者は,民法466条2項ただし書によって,有効に質権を取得する(判例*4)」と書いておられる*5けど,過失ある場合はどうなるのかしら。債権譲渡のところとパラレルに考えるのかな。

*1:道垣内・28頁。

*2:我妻・524頁。

*3:最判昭和52・3・17民集31-2-308。

*4:大判大正13・6・12民集3-272。

*5:道垣内・106頁。

 なんだかんだではてな使い易いんだよね。

(追認の要件)
第124条 追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、その効力を生じない。
 2 成年被後見人は、行為能力者となった後にその行為を了知したときは、その了知をした後でなければ、追認をすることができない。
 3 前2項の規定は、法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をする場合には、適用しない。


(法定追認)
第125条 前条の規定により追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない。
 (略)

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html

 了知の要否について,塾のテキストを見るとこう書いてある。

- 未成年者 成年被後見人 被保佐人 被補助人
追認(124条) 必要 必要 必要 必要
法定追認(125条) 不要 必要 不要 不要

 おかしいなと思うのは,法定追認のところで了知が「不要」になっているところ。成年被後見人のみならず,被保佐人及び被補助人も取り消しうる行為の了知が当然に必要とするのが通説*1判例*2だとすれば,本人の行為について法定追認が生じるためには「不要」欄のところも了知が必要なんじゃないのかしら。


 塾の直前答練受けるか迷うなぁ。というか,塾自体ここしばらく行ってない気がする。


講義刑法学・総論

講義刑法学・総論

 最近人気らしいですね。読んだことないけど。刑法総論はずっと前田先生の教科書をベースにして総研講義案で補正かけて使ってるから乗り換えるに乗り換えられなくて。気分の問題かもしれないけど,なんとなく厳格/制限責任説のものって使いにくい印象が。
 近頃は大塚先生の体系書を読んだりしてるけど,ああいう感じの本のほうが個人的には好き。我妻講義とか。じゃあ団藤綱要を読むのかと言われたらそれは別の話だけど。
 結局のところ刑法総論は決め手に欠く感じ。西田先生のも読んでみたけどよく分からなかったし,山口先生のは読んでないし。京都の人は何使ってるんだろうね。


 目的犯の目的の部分を主観的違法要素ではなくて責任阻却事由と考えたらどうなるかみたいなことを考えてた。偽造罪で「行使の目的」がないことを被告人が立証しなきゃいけなくなったら大変かしら。

*1:川井1・290頁,近江1・295頁。

*2:大判大正5・12・28民録22-2529。