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 従物について効力が及ぶことを,民法370条によって説明するか,87条2項によって説明するか,には争いがある。
 これは,一方で,民法87条においてドイツ法系の「従物」という概念を定めながら,他方で,従物概念を用いないフランス法系の考え方を,不十分な整理のままに導入したという法継受上のゆがみから生じる対立である。

道垣内弘人『担保物権法〔第3版〕』137頁。

 ということは,民法370条はフランス法に由来する規定なのだろうか。脚注で,立法過程については,角紀代恵「民法370条・371条」広中=星野編『民法典の百年2』594頁以下(有斐閣,1998)参照,となっているので,今度探して読んでみよう。

(利息の元本への組入れ)
第405条 利息の支払が1年分以上延滞した場合において、債権者が催告をしても、債務者がその利息を支払わないときは、債権者は、これを元本に組み入れることができる。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html

 なぜかいつも落とすんだよねこの条文。


 債権の定義について。

 権利論との関係で,定義α〔債務者の行為のみに着目する説――引用者注。〕は権利意思説に由来し,定義β〔債務者の行為だけではなく,行為の結果も重視する説――同前。〕は権利利益説をも考慮したものだと指摘されることもある。

中田裕康『債権総論』14頁。

 権利意思説がヴィントシャイトの所説で,権利利益説がイェーリングの所説であることは,青井先生の法理学概説で確認したんだけど,該当箇所を読み進めていくと,現代の学説の箇所で,

 現代権利論の大勢は,考察の重点をそれぞれの分野における権利の構造分析に移している。

青井秀夫『法理学概説』179頁。

とされたうえで,私法分野ではホーフェルドの所説を紹介されている。right,privilege,power,immunityというやつ。どこかで見たことがあると思ったらこれだった。

 権利ということばは,法律上も倫理上もさまざまな意味で用いられる。しかし,誰か(権利主体)が他の誰かに対して有している法律上の地位を指して,権利ということばが使われる点は,共通している。アメリカの法哲学者,ホーフェルド(Hohfeld, W. N.)以来,権利ということばの基本的な用法として,自由(liberty),請求権(claim-right),権能(power),免除(immunity)の4つが区別されている。

長谷部恭男『憲法〔第4版〕』97頁。

 微妙に原語が違ってるけど原典読んだわけでもないしそもそも法哲学は未履修なのでよく分からない。
 ちなみに,青井概説では,公法分野についてアレクシーの基本権理論を紹介しているんだけど,そこに同時に出てくるドゥオーキンの原理とルールの話って,もしかして高橋先生が曹時で書かれてた論文*1の話なのかな。……と思ったら,脚注*2で参照してあった。ちゃんと読んでない証拠だ。

*1:高橋和之違憲審査の方法に関する学説・判例の動向」曹時61巻12号1頁。

*2:高橋・曹時43頁・注3。